【2022年度から施行】高校で学ぶ「情報I」ってどんな内容?その内容と大学入学共通テストに加わる理由を徹底解説

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保護者
保護者

情報Iってよく聞くけど、どんな内容を学ぶの?

保護者
保護者

情報って昔からなかった?なんで今注目されてるの?

という方に向けた記事となっています。

確かに、情報という科目は、2003年度から導入され、およそ20年の歴史があります。が、最近注目されるようになったのは、「大学入学共通テスト」で試験科目として追加されるようになるからです。

この記事では「なぜ”情報”が受験科目に追加されるようになったのか」「情報Iではどのようなことを学ぶのか」という点を説明します。

この記事を読めば、情報Iの重要性も感じていただくことができるかと思うので、ぜひ最後まで読んでいただけたらと思います。

この記事を書いた人

コトゼニ

学習塾業界に10年以上勤め、これまで累計500人以上の生徒に勉強カリキュラム・進路相談を実施。個別指導塾・私立中学・高校の校内校内予備校の教室長を経験。ITパスポート所持。プログラミング言語 (得意) HTML / CSS / Ruby / Ruby on Rails (勉強中)Java

そもそも「情報」とは高等学校で指導する科目の一つです。2003年度に新設されました。その時には「情報A」「情報B」「情報C」と、3つに分かれていました。

情報Aでは情報活用の実践力を中心に学び、情報Bは情報を科学的に学び、情報Cでは情報社会に参加するにあたっての姿勢・態度のようなことを学びました。

どの強化を選択するかは学校が選択していました。結果、ほとんどの学校が「情報A」を選択し偏りが出ていました。

そして2013年度に施工された学習指導要領では「社会と情報」「情報の科学」に分けられ、「情報B」の内容を「社会と情報」が、「情報C」の内容が「情報の科学」に継承されるような位置づけとなり、「情報A」に相当する科目が無くなりました。

保護者
保護者

2022年度から施工されている学習指導要領ではどうなったの?

コトゼニ
コトゼニ

「情報I」と「情報II」に分かれることになったよ

2018年に制定された学習指導要領の改訂(2022年度より高校で施行)では情報は「情報I」と「情報II」に分かれることになりました。

新しい学習指導要領では「情報I」を、「事象を情報とその結び付きの視点から捉え,

情報技術を適切かつ効果的に活用する力を全ての生徒に育む共通必履修科目」、「情報II」を

「情報Ⅰ」の基礎の上に,情報システムや多様なデータを適切かつ効果的に活用する力や,コンテンツを創造する力を育む選択科目と解説しています。

つまり、「情報I」では「情報社会や情報技術を活用して生きていく上で最低限必要なことを学ぼう」という目的、「情報II」では「情報Iで学んだことをさらに深堀りして、自分自身でコンテンツを作る力を養おう」ということが目的になっています。

ではなぜ、このように変化したのでしょうか。

社会の変化と教育の目的の変化

「社会に開かれた教育課程」と「全教科の目標」

成人年齢が18歳に引き下げられたことが大きな話題になったのは記憶に新しいと思います。これまでと違って、政治や社会が学生たちにとって、より一層身近なものになりました。また、人工知能(AI)やIoT、Society5.0に向けた社会の目まぐるしい変化も含め、予測不能かつ変化の激しい時代になっています。

そこで、新しい時代に求められる資質・能力を子どもたちに育む「社会に開かれた教育課程」が必要だと学習指導要領で定められました。

また、全ての教科等の目標や内容を

  • 知識及び技能
  • 思考力・判断力・表現力など
  • 学びに向かう力・人間性など

の3つの柱に定めました。

社会の目まぐるしい変化に対応する力が必要であることを示しています。

旧学習指導要領での指導の反省点

2013年より施工された学習指導要領での指導、つまり「社会と情報」「情報の科学」での指導に対する振り返りとして、以下のようにまとめられています

2013年施行の学習指導要領の成果と課題

近年,情報技術は急激な進展を遂げ,社会生活や日常生活に浸透するなど,子供
たちを取り巻く環境は劇的に変化している。今後,人々のあらゆる活動において,
そうした機器やサービス,情報を適切に選択・活用していくことがもはや不可欠な
社会が到来しつつある。それとともに,今後の高度情報社会を支える IT 人材の裾
野を広げていくことの重要性が,各種政府方針等により指摘されている。そうした
中,情報科は高等学校における情報活用能力育成の中核となってきたが,情報の科
学的な理解に関する指導が必ずしも十分ではないのではないか,情報やコンピュー
タに興味・関心を有する生徒の学習意欲に必ずしも応えられていないのではないか
といった課題が指摘されている。

(平成28年 12 月 中央教育審議会答申 より)

つまり、施行してから、状況が変わっていき、情報技術の進化が目覚ましく、生活の中で活用することが必須。そのための「情報」という科目であったけども、内容が物足りなかったのではないか。ということですね。

そして、先にも書いたように、どんどん変化していく情報社会の中で、新しい時代に対応する人材になるために、情報技術を活用しながら、思考力・判断力を身につけて社会の問題解決へ繋げよう。そのためには情報技術を身につけ、情報発信する際の知識と教養を身につける必要がある。という考えのもと、改訂が加わったということです。

大学入学共通テストへの追加

「情報」という教科の扱いについて、大きな変化として挙げられるのが「大学入学共通テストへの追加」でしょう。

大学入学共通テストとは、国公立大学を受験する上で必要となる全国一斉に行われる一次試験のようなテストです。旧名称は「センター試験」でしたね。

その大学入学共通テストで受験する科目に「情報」が追加されることになりました。

国公立大学を受験する学生はこれまでの受験科目であった「英数国理社」に加え、「情報」が追加されることになり、6教科8科目の勉強が必要になりました。

ということは東京大学の受験にも(大学入学共通テストで)必要となります。

さらに、情報Iの内容には、「コンピュータとプログラミング」という章が設けられており、基礎的なアルゴリズムの理解度やプログラミング知識・プログラムの読解力を問う問題が出題されることになるのです。

全く新しい科目・新しい知識が大学入試で必要になる!つまり、大学入試制度全体に影響が出る!それが注目されている理由です。

なぜ大学入学共通テストに追加されるの?

生徒
生徒

学習する必要はあると感じたけどなぜ大学入学共通テストの科目になったの?

コトゼニ
コトゼニ

情報Iの内容が英数国と並ぶくらい大事と定められたからだよ

大学入試センターが発表した「平成 30 年告示高等学校学習指導要領に対応した
令和7年度大学入学共通テストからの出題教科・科目について」内の情報Iの「検討の考え方」によれば

情報I「検討の考え方」

新学習指導要領では,2科目(「情報Ⅰ」,「情報Ⅱ」)が設定され,これらのうち「情報
Ⅰ」が必履修科目とされている。
また,「未来投資戦略 2018―「Society5.0」「データ駆動型社会」への変革―(平成 30
年6月 15 日閣議決定)」により,「義務教育終了段階での高い理数能力を,文系・理系を問わず,大学入学以降も伸ばしていけるよう,大学入学共通テストにおいて,国語,数学,英語のような基礎的な科目として必履修科目「情報Ⅰ」(コンピュータの仕組み,プログラミング等)を追加する」とされている。
このため,必履修科目「情報Ⅰ」の内容を『情報』として出題する。

(「平成 30 年告示高等学校学習指導要領に対応した令和7年度大学入学共通テストからの出題教科・科目について」大学入試センター)

つまり、情報Iの内容(コンピュータの仕組み、プログラミングなど)は、英数国のような基礎的な科目として位置付けられるくらい大事だ。だから大学入学共通テストでも科目として追加します。だから入試に必要だから学校でもしっかり指導してね。

このように、情報Iの内容がこれからの社会を生きる上で必要な知識と定められていため、大学入学共通テストでも科目として追加されることになったのです。

情報Iの指導内容

では実際に、「情報I」の科目でどのようなことを学ぶのでしょうか。

学校が採択する教科書によって、各章の構成は異なりますが、学習指導要領に定められている情報Iの指導内容は以下の4章に分かれています。

  • 情報社会と問題解決
  • コミュニケーションと情報デザイン
  • コンピュータとプログラミング
  • 情報通信ネットワークとデータの活用

それぞれどのような内容か、学習のねらいと合わせて見ていきましょう。

情報社会と問題解決

この章の学習のねらいは以下のように定められています。

「情報社会と問題解決」の学習のねらい

情報と情報技術を活用した問題の発見・解決の方法に着目し,

情報社会の問題を発見・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

 ア 次のような知識及び技能を身に付けること。 

 (ア)情報やメディアの特性を踏まえ,情報と情報技術を活用して問題を発見・解決 する方法を身に付けること。

 (イ)情報に関する法規や制度,情報セキュリティの重要性,情報社会における個人の責任及び情報モラルについて理解すること。

 (ウ) 情報技術が人や社会に果たす役割と及ぼす影響について理解すること。

 イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

 (ア)目的や状況に応じて,情報と情報技術を適切かつ効果的に活用して問題を発見・ 解決する方法について考えること。

 (イ) 情報に関する法規や制度及びマナーの意義,情報社会において個人の果たす役 割や責任,情報モラルなどについて,それらの背景を科学的に捉え,考察するこ と。

 (ウ) 情報と情報技術の適切かつ効果的な活用と望ましい情報社会の構築について考 察すること。

(高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説「情報編」文部科学省)

この章では身近な問題を例に、どのような解決手段があるのか、そして「それを考える方法」を学びます。そのため、「ブレーンストーミング」「kj法」という言葉も学びます。

つまり、情報社会と言われる生活の中で、まずどんな問題があるのかを発見・認識する力、そしてそれらを解決する方法を論理的に考える力を身につけよう。ということがこの章の学習のねらいですね。

コミュニケーションと情報デザイン

第2章では、情報デザインについて学びます。

「コミュニケーションと情報デザイン」の学習のねらい

メディアとコミュニケーション手段及び情報デザインに着目し,

目的や状況に応じて受け手に分かりやすく情報を伝える活動を通して,

次の事項を身に付けることがで きるよう指導する。

 ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

  (ア) メディアの特性とコミュニケーション手段の特徴について,その変遷も踏まえ て科学的に理解すること。

  (イ) 情報デザインが人や社会に果たしている役割を理解すること。

  (ウ) 効果的なコミュニケーションを行うための情報デザインの考え方や方法を理解し表現する技能を身に付けること。

 イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

  (ア) メディアとコミュニケーション手段の関係を科学的に捉え,それらを目的や状況に応じて適切に選択すること。

  (イ) コミュニケーションの目的を明確にして,適切かつ効果的な情報デザインを考えること。

  (ウ) 効果的なコミュニケーションを行うための情報デザインの考え方や方法に基づいて表現し,評価し改善すること

(高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説「情報編」文部科学省)

この章では「標本化」「量子化」「符号化」といったデジタルでの表現方法から「ピクトグラム」という言葉も紹介されています。

つまり、メディアの特徴を理解して、自分が相手にコミュニケーションを通して伝える際に適切な方法で適切に伝えられる力を身につけよう。ということが学習のねらいです。

コンピュータとプログラミング

この章では、コンピュータの五大装置やプログラミング、アルゴリズムについて学びます。

学習のねらいとしては以下です。

「コンピュータとプログラミング」の学習のねらい

コンピュータで情報が処理される仕組みに着目し,

プログラミングやシミュレー ションによって問題を発見・解決する活動を通して,

次の事項を身に付けることがで きるよう指導する。

 ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

  (ア) コンピュータや外部装置の仕組みや特徴,コンピュータでの情報の内部表現と 計算に関する限界について理解すること。

  (イ) アルゴリズムを表現する手段,プログラミングによってコンピュータや情報通信ネットワークを活用する方法について理解し技能を身に付けること。

  (ウ) 社会や自然などにおける事象をモデル化する方法,シミュレーションを通して モデルを評価し改善する方法について理解すること。

 イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

  (ア) コンピュータで扱われる情報の特徴とコンピュータの能力との関係について考察すること。

  (イ) 目的に応じたアルゴリズムを考え適切な方法で表現し,プログラミングにより コンピュータや情報通信ネットワークを活用するとともに,その過程を評価し改 善すること。

  (ウ) 目的に応じたモデル化やシミュレーションを適切に行うとともに,その結果を踏まえて問題の適切な解決方法を考えること。

(高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説「情報編」文部科学省)

この章では「CPU」といったコンピュータを構成する五大装置の名称から、プログラミング理解に必須な「変数」や「配列」についても学習します。情報Iの中でも苦戦する学生が多く出てくるのではないかと予想できる範囲ですね。

実際に「Python」や「JavaScript」といったプログラミング言語が記載されており、順次構造、繰り返し構造、条件分岐などプログラムの基礎となる部分を学ぶことになっています。ただし、どのプログラミング言語を選択するかは学校の先生に委ねられています。

ここでの学習のねらいは、コンピュータの仕組みを知って、コンピュータに処理実行させるプログラムを作れるようにしよう。そのためにアルゴリズムを理解する力を身につけよう。そしてその力を通して、社会における事象をモデル化・シミュレーションして、問題の解決方法を探る力を身につけよう。と言えるでしょう。

情報通信ネットワークとデータの活用

最後の章では、情報通信ネットワークやデータの活用について学びます。

学習のねらいは以下の通り。

「情報通信ネットワークとデータの活用」の学習のねらい

情報通信ネットワークを介して流通するデータに着目し,

情報通信ネットワークや情報システムにより提供されるサービスを活用し,

問題を発見・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

 ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

 (ア)情報通信ネットワークの仕組みや構成要素,プロトコルの役割及び情報セキュリティを確保するための方法や技術について理解すること。

 (イ)データを蓄積,管理,提供する方法,情報通信ネットワークを介して情報システムがサービスを提供する仕組みと特徴について理解すること。

 (ウ)データを表現,蓄積するための表し方と,データを収集,整理,分析する方法について理解し技能を身に付けること。

 イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

 (ア)目的や状況に応じて,情報通信ネットワークにおける必要な構成要素を選択するとともに,情報セキュリティを確保する方法について考えること。

 (イ)情報システムが提供するサービスの効果的な活用について考えること。

 (ウ)データの収集,整理,分析及び結果の表現の方法を適切に選択し,実行し,評価し改善すること。

(高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説「情報編」文部科学省)

この章では「IPアドレス」「プロトコル」といった通信技術に関する言葉から、「相関」「偏差」などデータを活用する際に必要な言葉も登場します。

つまり、日々の生活の中で利用しているサービスってあるよね?それってどのようにして情報を収集しているのだろう?ネットワークや通信の仕組みを知り、データを収集、蓄積する方法、重要性を知ることで、サービスを用いた問題解決に役立てよう。ただ、データ収集にひそむ危険性、情報セキュリティについても知っておこう。ということが学習のねらいと言えるでしょう。

まとめ

情報Iの内容は今後のスタンダードとなるような内容

いかがでしたでしょうか、「情報」という科目の歴史やその内容は、社会の情報化と強く関連していることを感じていただけたでしょうか。

大学入学共通テストで導入される理由でも触れたように、英数国同様に、基礎的な内容と位置づけらる「情報I」の内容は今後の基礎知識・教養となりスタンダードになっていくことでしょう。

コトゼニ
コトゼニ

学生も大人も学ばないといけない内容と言えるかもしれません。これからも一緒に勉強していきましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

それではまたここで会いましょう。

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