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2025年度から新課程を範囲とした大学入学共通テストが実施されます。しかし、2024年度に受験した高校生が残念ながら浪人した際には、2025年度からは新しい範囲の大学入学共通テストを受験することになります。
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そうすると学校で学んでないことも出題されて不利じゃないの?
「情報」科や新しく追加された分野を学ぶことになると、たしかに旧過程で学んできた人たちにとっては、大変だと感じてしまうでしょう。
そこで今回は、「新課程になると共通テストは浪人生にとって不利なのか」という点を学習塾で10年以上勤め、500人以上を指導してきた筆者が解説します。
自ら望んでなることは少ないですが、「浪人」になってしまっても焦らないで良いようにしっかりと仕組みを把握しておきましょう!
目次
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学校でどのような内容を教えるのかを定めているのが「学習指導要領」。それらは社会の変化とともに都度見直され、改訂されています。
今回の改訂は平成30年に提示され、改訂されることが決まりました。小中高と、それぞれ新しい学習指導要領になっているのですが、高校では2022年度より、新しい学習指導要領での学習が始まりました。
2022年度の高校1年生から順次改訂されていく新学習指導要領では、ほとんどすべての教科・科目において大きな変更があり、必修科目にも違いが出ています。他の記事でも紹介している、情報Iが必修科目になったこともこの変化の一つですね。
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2022年度からの学習指導要領改訂を受け、その新課程で学んだ高校生たちが受験する、2025年度の大学入試も大きく変化することになります。
- 試験形式は紙で実施
- 英語4技能評価や記述式問題、 CBTのいずれも活用無し
- 新しい学習指導要領で3年間履修する現役生だけが有利な状況にならないよう、旧課程の履修者には経過措置が取られる。
と、一見するとほとんど従来通りではありますが、いくつかの教科で変更点が生じています。
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国語
従来と同じ。
英語
従来と同じ。
数学
数学I、Aは変更なし。「数学Ⅱ、数学B、数学C」においては、数学B、Cについては3項目を選択し解答する。これにより文系の生徒でも、数学Cを勉強しなければならないことがある。
理科
従来と同じ。
社会
「地理総合、地理探求」「歴史総合、 日本史探究」「歴史総合、 世界史探究」 「公共、 倫理」「公共、 政治・経済」「地理総合、歴史総合、 公共」の計6科目に。 受験生は現行通り、「地理歴史」「公民」から最大2科目選択が可能。
情報
出題範囲が「情報I」の「情報」という試験科目が新設
特に社会は組み合わせが不可な例もあるので注意が必要です。
▶︎こちらの記事でも解説しています。
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▶︎こちらの記事では新たに加わる「情報」対策について解説しています。
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2024年度に受験する高校3年生が残念ながら浪人してしまった場合には、翌年度には新課程での入試を受験することになります。
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そうすると学校で学んでないことも出題されて不利じゃないの?
「情報」科や新しく追加された分野を学ぶことになると、たしかに旧過程で学んできた人たちにとっては、大変だと感じてしまうでしょう。
そこで、まずは「旧過程で学習していた人が浪人で新課程のテストを受けるとどうなるか」を整理してみましょう。
英語
英語は2025年度から導入される新課程でも現行とほぼ同じ(従来通り)と考えて問題ないでしょう。
学習指導要領で習得目標単語数が4,000〜5,000語へ増加しましたが、試験形式や範囲は従来通りと考えて良いでしょう。
国語
国語も2025年度から導入される新課程でも現行とほぼ同じ(従来通り)と考えて問題ないでしょう。
数学
数学は「数学Ⅱ 数学B 数学C」の科目において、数学B、Cについては次の4項目から3項目を選択し解答することになります。
- 数学B:「数列」「統計的な推測」
- 数学C: 「ペクトル」 「平面上の曲線と複素数平面」
「ベクトル」分野は、これまで数学Bで頻出の範囲でした。そのため旧過程ですでに学んでいることが多いでしょう。しかし数学Cへ移行していますので、出願時など、科目選択を間違えないようにしましょう。
理科
理科は「物理基礎」 「化学基礎」 「生物基礎」 「地学基礎」の基礎科目が 「物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎」 1科目にまとめられています。ただし、各基礎科目から2科目の内容の問題を選択解答することになっています。
科目がまとめられるだけで範囲などは大きな変化は無いと考えて良いでしょう。
社会
新学習指導要領では、「歴史総合」・「地理総合」・「公共」が新しく登場し、受験に際しても、組み合わせが不可な例があるなど、いくつか気をつけなければならない点があります。
ただし、新設科目も「歴史総合」は世界史と日本史の近現代史に、「公共」は「現代社会」に近いことを考えると、旧過程で学んだからといって不利にはたらくとは考えにくいでしょう。
情報
2025年度からの大学入試で大きな変化のひとつで最も気になるところでは無いでしょうか。「情報」は旧過程で学んだ人は「旧情報(仮)」科を受験することになります。
これは旧過程で学んだ人たちに対して不公平にならないようにする経過措置のひとつで、新課程の「情報1」の範囲を出題範囲とする「情報」と違って、旧過程の「社会と情報」、「情報の科学」を範囲としています。
また高校で、どちらの科目を履修していても不利益が生じないように、両科目の共通部分を必答問題にしたり、「社会と情報」に対応した問題及び「情報の科学」に対応した問題を出題し、選択解答させたりするなど、「情報」科とは少し異なる出題方法が採られます。
ただし、現役受験する際に「『情報』を本格的に勉強しなかった」という人も少なく無いはずです。
その観点から考えると「受験に必要な科目が一つ増えた」と大変に感じるでしょう。
しかし、それは2025年度に現役生として受験する高校生も同じ条件です。そう考えると、旧過程だからといって不利にはたらくことはないように感じます。
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それに、「旧情報(仮)」では「プログラミング問題」を避けることができるかもしれませんよ
「情報」科の鬼門とも言えるのはやはり「プログラミング」問題。「旧情報(仮)」ではその範囲の問題を避けることができるかもしれません。詳しくはこちらの記事に書いています。
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旧課程で学んだ人への経過措置(「地歴」・「公民」・「数学」)
先ほどは「情報」について旧過程で学んだ人への経過措置を紹介しましたが、実は「地歴」「公民」「数学」でも同様に経過措置が準備されています。
2025年度 新学習指導要領における大学入学共通テスト旧課程履修者への経過措置
教科 | 経過措置科目 | 備考 |
---|---|---|
地理・歴史 | 『旧世界史A』 『旧世界史B』 『旧日本史A』 『旧日本史B』 『旧地理A』 『旧地理B』 | 1科目または2科目選択 同一科目名を含む2科目選択不可 |
公民 | 『旧現代社会』 『旧倫理』 『旧政治・経済』 『旧倫理、旧政治・経済』 | 1科目または2科目選択 同一科目名を含む2科目選択不可 |
数学① | 『旧数学Ⅰ』 『旧数学Ⅰ・旧数学A』 | |
数学② | 『旧数学Ⅱ』 『旧数学Ⅱ・旧数学B』 『旧簿記・会計』 『旧情報関係基礎』 | |
情報 | 旧情報(仮) | 旧過程の「社会と情報」、「情報の科学」が範囲。 |
経過措置を利用する場合は特に、出願時に新旧いずれの課程で受験するかを登録する必要があるかどうかなど、注意を払う部分もありますので、ミスしないようにしましょう。
浪人になると1人で勉強するのが不安になりますよね。そのときには心強い味方、予備校を利用しましょう。
オススメは、
旧過程で学んだ人が浪人になって新課程の範囲で実施される2025年度の大学入学共通テストを受験すると不利になるのかと言う点について紹介しました。
英数国理社、若干の変化が加わる科目もありますが、旧過程だから不利になるというものはありません。また、2025年度から新設される「情報」についても経過措置も実施されるため、しっかり勉強することで新課程の試験でも十分に挑むことができるでしょう。
もちろん現役合格できれば最良ですが、もし納得のいく結果にならなくても作戦を入念に立てて、合格を勝ち取りましょう!
この記事が少しでも参考になればこれほど嬉しいことはありません。
それではまたここで会いましょう!
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